『 屋久島 』
ここは僕に撮って
写真家としての生き方を問われた島だ。

鹿児島から南に300キロ
周囲100キロの小さな島だが
この島にはすごい “秘密” がある。
なんと、こんな小さな島なのに
1500m以上の高い峰が11もあるのだ。
それによって
地上付近は「沖縄」の気候
山に行くと「北海道」の気候になる。
それによって
地上付近は「沖縄」の気候
山に行くと「北海道」の気候になる。


2018年
“冬”の屋久島” との出会いは
この時が初めてだった。
『どうしても、人と違う写真が撮りたい!』
その情熱が
屋久島の雪景色と、僕を出会わせたのだろう。
『一ヶ月に35日、雨が降る』
とも言われるほど、多湿で雨の多い屋久島は
苔むした森で覆われている。

あの“もののけ姫”の
モデルになったことでも有名だ。
はじめての“冬の屋久島”では
雪は降らなかったが
苔の緑と、雪の白のコントラストが
非常に美しく、魅了された。


この時のゴールは
屋久島の象徴とも言える
樹齢2000年を超える巨大な杉の木
『 縄文杉 』

“いつかこの縄文杉に
雪が降りしきる写真を撮りたい”
これが僕の1つの目標となっていた。
2019年
2回目の“冬の屋久島”では
九州最高峰である宮之浦岳まで登った。

頂上付近には
丸みを帯びた不思議な形状の
巨岩が転がっている
奇妙な光景に出会った。

この巨岩に挟まれた
ささやかな祠(ほこら)に
神聖なパワーを感じたことをよく覚えている。

そしてコロナ禍を過ごし
6年ぶりとなった
3回目の”冬の屋久島”
念願の、1枚を撮ることに成功した。
登山初日は、寒波の前で
ほとんど雪のない道を
軽快に登ることができた。

登山初日は、寒波の前で
ほとんど雪のない道を
軽快に登ることができた。
縄文杉そばの山小屋に泊まり
翌朝ドアを開けると・・・
夜のうちに訪れた巨大な寒波が
たった一晩のうちに
すべての景色を一変させていた。


思わず胸が高鳴る。
急いで、縄文杉まで向かう。
「念願の、縄文杉と雪の景色が撮れるかもしれない...!」
その願いは通じて、縄文杉は
とても幻想的な姿を見せてくれた。

「 雪降る縄文杉 」
Snow-covered Jomon Cedar
悠久の時を、この地で過ごす縄文杉
そこに降り続ける大粒の雪。
この景色をイメージして持ってきていた
カメラフラッシュを用いて
雪の粒を大きく写すことに成功した。

激しい雪が降る屋久島は
さらに神聖さを増し
観光名所のウィルソン株も
妖精の隠れ家のようになっていた。

この中にも祠(ほこら)があり
無事を祈って下山した。

こうして僕の中での
“冬の屋久島プロジェクト”は
いったん大きな区切りを得て
今回の展示にいたる。
でもきっとまた
この神聖なパワーに惹かれて
『屋久島新しい表現』を追い求めるんだと思う。
・・・
2000年以上もここから動かず
歴史を見守り続けた『縄文杉』
樹皮の質感が、その年月の長さを語る。
果てしなく長い年月を
ここから一歩も動かず
ただそこに在る。
屋久島は生き方を考えさせられる島。