
KEIGO KAWAIDA
PHOTOGRAPHY

「 森のメロディー 」
Forest melody
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陽が落ちてから西表島の森を進み、夜の帳が降りると、サキシマスオウノキの巨木のまわりに小さな光が舞い始める。ヤエヤマヒメボタルが放つ無数の光が、森をイルミネーションで彩るように、ゆっくりと揺らめきながら漂う。 この森に根を張り、長い時を生きるサキシマスオウノキ。その板のように広がる根は、まるで大地に刻まれた波紋のように静かに広がり、その上をホタルたちの光が流れるように舞う。 闇に浮かぶ小さな輝きは、まるで森が紡ぐ物語を語るよう。ジャングルの奥地、人知れず繰り広げられる、森と光の静かな対話 —— それは、西表島の夜が魅せる奇跡のひととき。 Camera:SONY ILCE-7RM5 Lenz:LAOWA 15mm f2 zero-d 15mm/ 139s/ F2.0/ ISO5000

「 ひとつ星の樹 」
The Lone Star Tree
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夜の静寂の中、一本のマングローブが、満天の星空を背にして凛と佇む。遠く石垣島の街明かりがほのかに灯り、その柔らかな輝きが夜の深みを優しく包み込む。 地面に広がる静かな水面は、まるで天空を映し出す鏡のよう。星々の光とマングローブの影がそこに溶け合い、空と大地の境界が曖昧になる。この一瞬、この場所だけに生まれた、幻想的な調和。 海と川、そして空の狭間で生き続けてきたマングローブ。その力強くも静謐な姿は、宇宙の広がりと響き合いながら、永遠に続くような時間の流れをそっと語りかけてくる。 Camera:SONY ILCE-7RM5 Lenz:SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art 023 14mm/ 20s/ F1.4/ ISO6400

「 宙と海をつなぐ森 」
Where the Sky Meets the Sea and Forest
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西表島の静かな夜。海と川が交わる境界に、2本のマングローブがそっと佇む。その根は大地にしっかりと根ざしながら、筍根を水面から突き出して生きている、 やがて、闇の中から夏の天の川が昇り始める。無数の星々が夜空を埋め尽くし、マングローブの間からまるで天へと続く道のように光がこぼれる。その瞬間、空と川と大地がひとつに溶け合い、時の流れが止まったかのような静寂が訪れる。 Camera:SONY ILCE-7RM5 Lenz:SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art 023 14mm/ 13s/ F1.4/ ISO3200 小型LEDライトを2個使用

「 流れゆく水と星」
Rivers of Water, Rivers of Stars
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西表島のジャングルの奥地、闇の中で大きく広がった滝が絶え間なく流れ落ち、その水音だけが響き渡る。無数の水の粒が岩肌を滑り、暗闇の夜でもかすかに白く光る。 空を見上げると、そこには満天の夏の天の川が立ち昇っていた。夜空に溢れる星々の光が、まるで滝の流れと呼応するかのように、静かに降り注ぐ。滝の水は大地を巡り、マングローブの川を抜け、やがて海へと辿り着く。一方、星の光は遥か彼方の宇宙から届き、この場所に束の間の輝きと、宇宙との距離を感じさせる。 Camera:SONY ILCE-7RM5 Lenz:SIGMA 14mm F1.4 DG DN | Art 023 14mm/ 15s/ F1.6/ ISO8000 前景5〜10枚スタック合成/光景5〜10枚スタック合成 小型LEDライトを2個使用

「 黄昏のマングローブ 」
Twilight Grove
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水中に身を沈め、動かず、世界とひとつになるような感覚の中でシャッターを切った。 薄明の時刻、空は限りなく豊かな色彩を映し出し、凪いだ水面がそのすべてを受け止める。オレンジから紫、青へと移ろう空のグラデーションが、水面にもう一つの空を創り出したかのように広がる。 流れに身を委ねる3本のマングローブは、その黒い輪郭をくっきりと浮かび上がらせ、静寂の中に、ただそこに在る。この瞬間もまた、何も語らずに受け入れているようだった。同じ場所に立ち続けるなんて、人間様からすればあまりに尊い。 波を立てぬよう、呼吸すら慎重に。自分が少しでも動けば、この儚い水鏡は崩れてしまう。だからこそ、ただじっと、静かに、静かに。 この一枚には、時間の流れと水のゆらぎ、自分と世界がまどろう感覚が込められている。 Camera:SONY ILCE-7RM5 Lenz:ZEISS Loxia 2.8/21 21mm/ 20s/ F10/ ISO100

「 静寂を漕ぐ 」
Paddling in Silence
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パックラフトを浮かべて、マングローブの川を進むたびに、人間の世界から遠のいていく。背後から夕焼けがオレンジ色の光を投げかけ、後方から強い光が差した。振り返ると、そこには人間世界の残照。けれど、前方にはまだ見ぬ闇と未知の景色が広がっていた。 完全な静寂。音は消え、ただオールが水をはじく音だけが響く。孤独とも違う、澄み切った静けさの中で、都会では感じられない「自分」というものが際立って感じられる。恐怖と興奮、その狭間にある感覚が研ぎ澄まされていく。 この先に何があるのか、どこへ辿り着くのか。それを知るのは、この大きな流れと、ちょっとの意志。人生も同じじゃないだろうか。自分の意思だけじゃ行き先は決まらない。大きな流れに身を任せてつつ、自分ができるのはオールの先を動かすくらい。 「何が起きるか分からないを、恐れず楽しもう」それが今の僕の考え。 Camera:SONY ILCE-7RM5 Lenz:ZEISS Loxia 2.8/21 21mm/ 1/400s/ F8/ ISO400
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